コロナ禍等の
パンデミックでの
モノづくりの在り方を
提案しています
コロナウイルスに侵される前のサプライチェーンではどこでも発注通り入荷が行われていました。この発注は在庫と販売予測に基づきモノが最少になるよう続けられました。販売予測は需要かボトルネックの小さい方の値が採用されることで現実的な予測を提案できました。
こうした、販売のタイミングに見合った量を調達・生産する同期は、非常に効率よくモノをキャッシュに変換できる唯一無二のサプライチェーンの在り方として、他の見方・考え方・手法の提案が皆無だったことから、20世紀後半より君臨しつづけています。
ただし同期は、唯一だけれども万能だったわけではありませんでした。まず環境面からみると、国土面積7割といわれる森林に関して、木材の流れを通じた森林管理へのキャッシュの流れは充分といえるものではありませんでした。木材の流れ自体を担う木材産業の視点でみると従事者への賃金のために毎月安定したキャッシュの流れを要しますが同期の考えだけでは保障されません。さらに社会の面では、福祉作業所等の日々の変化に対応しがたい従事者で担われている生産の場においては販売の変動にくらべ日々スムースに安定した作業量が求められてきました。
コロナウイルスの収束時期や収束しきるかは今はわかりませんし、収束してもまた別な禍が地球規模で起きる可能性もあります。つまりいつどこでどの部品の工場がどれほどの期間で生産停止や生産縮小となるか予測できない時代に突入していることになります。発注通りの入荷が前提であったサプライチェーンの同期は、その前提が崩れ、欠品・失注が多くなり、社会全般にモノ不足による不安さえ生じさせかねません。
さて、ここまでで3つの問題がうきぼりにされました。
まず、サプライチェーンのモノの流れは果たして同期だけなのでしょうか?
そして仮に同期と異なる流れが1つ以上ある場合、そのなかには、環境・社会の要求を
満たすような安定した流れとつながるものはあるのでしょうか?
また、それらのなかに、同期よりも欠品・失注を起こさない流れはあるでしょうか?
本サイトはこれらの疑問・課題に応えるためにつくりました。
最初に新たな方針を探して決めます。つぎに同期で予想される 調達のふるまいに対しどのように調整ができるのか、モノの流れの可能性を探ります。
2021年3月11日
青柳修平
新方針の探索: QCDの拡張
既存の方針は販売予測に沿った調達による在庫最少で資金最大をねらうことでした。これは在庫不足をなくし、さらに過剰在庫をなくす2つの要素から成立しているといえます。
そこで製造業の基本であるQCD(品質・経費・納期)を「モノ」「カネ」「トキ」と拡張し、2項目間に1つの要素を導き適正な2つの要素を組み合わせて、新たな方針に採用します。
新方針の検討: 3要素の同定
QCDからの要素は、「過剰在庫回避(モノ・カネ)」「キャッシュ不足回避(カネ・トキ)」そして「モノ不足回避(トキ・モノ)」の3つです。
このうち既存の方針は、前述の「過剰在庫回避」と「モノ不足回避」の組み合わせと完全に一致します。このことは、QCDから方針を導き出すことに適正さが担保されていることを示しています。
新方針決定: 新たな組合せ
新方針を検討すると、SCMの最大のミッション(使命)は「モノ不足回避」なので必ず採用する要素として固定します。
「過剰在庫回避」との組み合わせは前述の通り既存方針と一致します。
よって既存と異なる新しい方針は「モノとキャッシュの不足回避」になります。(ほかの方針はみあたりません)
方針をモノの流れに読み替えて
モノ不足回避: 欠品・失注を避けやすくなるように調達を前倒し
キャッシュ不足回避: 損失の月につながる調達を他の月に山崩し
前倒しと山崩しを組み合わせたモノの流れ
販売と近似する同期のふるまいに失注・欠品・損失と関係なく
前倒しと山崩しを施すと、振幅を小さくする押均しとなります。
このモノの流れは、環境・福祉の希求してきた安定に一致します。
キュービックジット(JIT*3)
モノの流れの前倒し・山崩しと、その組み合わせの押均しを
キュービックジット(JIT: ジャストインタイム)と名付けました。
新しい方針「モノとキャッシュの不足回避」に基づいた流れは
安定を示し、決算時等カウントする時点ではモノを最少にでき、
同期と新たな戦略の双方の得点を兼ね備えます。またこれまで
安定を希求してきた環境・福祉分野にも対応しています。
通常、これまでよりモノを多く抱えるサプライチェーンは
同期では対応できかねないコロナ禍対策になっています。